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挑戦する職員たち

EPISODE
大学史上初、職員出身の副学長誕生。
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教職協働の精神が拓いた新たなキャリアパス

2022年4月立命館では、大学職員出身の副学長が誕生した。これは立命館大学創立122年の歴史の中で、初めてのことである。他大学においても、学長や副学長などのポジションには教員出身者が就任されるケースが多いが、立命館の強みの一つである「教職協働」の考え方・組織風土のもと、大学職員の新たなキャリアパスとして副学長が誕生したことは、まさに立命館だからこその判断だと言える。現在担っている役割や、今後大学職員に求められる役割・力量なども含め、新副学長の挑戦を聞いた。


副学長就任は
立命館だからこその判断

2022年4月から副学長に就任し、「職員として研究を支援する立場」から「職員として教育研究にイノベーションを起こす立場」になりました。私自身、副学長は教員が務めるものだと思っていましたので、まさに青天の霹靂でした。「教職協働」を大切にしてきた立命館大学だからこその判断だと思っています。これまで職員の上級職としては、理事長や専務理事、総務や財務担当の理事といった法人系の役職しかありませんでしたが、今回の就任によって、職員の新たなキャリアパスとして、学長に次ぐ教育研究の責任者である副学長という道が拓けたことになります。その一方で、後進の職員のために、そして学生や校友、大学のためにもしっかりと副学長を務めあげなければならないと、身が引き締まる気持ちです。



副学長としての役割

現在私を含め立命館大学には4名の副学長がいます。3名の副学長(教員)はそれぞれ「教学・大学院担当」「学生・入試・一貫教育担当」「研究・学術情報・国際連携・ダイバーシティ&インクルージョン担当」と特定の担当がありますが、私にはありません。私の役割は「3副学長の調整役ではなく、3名の間にある仕事を紡いで、新たなイノベーションを起こしたり、新たな大学としての価値を創造すること」だと認識しています。そのため今後も学内外の情勢をしっかりと把握・分析しながら、自身の強みである「情報収集力」と「行動力」を活かして、立命館大学の施策として具体化していきたいと思います。

注力している取り組みとしては、副学長と研究部事務部長、産学官連携戦略本部副本部長を兼務していますので、まずはその業務をしっかりこなすこと。その上で、学園ビジョンR2030立命館大学チャレンジ・デザインの重点目標である「新たな価値を創造する次世代研究大学」と「イノベーション・創発性人材を生み出す大学」の実現に向けて邁進します。世界大学ランキング200位台への挑戦や「立命館先進研究アカデミー(RARA)」構想の推進、大学院生・博士後期課程学生の多様なキャリア形成やキャリアパス、科研費に加え地域中核大学や大型産学連携などの大型学外資金獲得、起業・事業化支援など、取り組む課題は目白押しです。

また、昨今政府が打ち出したことで話題となった、10兆円規模の「大学ファンド(世界トップの研究力を目指す大学を運用益で支援する制度)」や、それらに次ぐ準トップ大学の底上げに対して機敏に反応し、対策を講ずることにも苦労とやりがいを感じています。


オール立命館の総合力
大学職員は「支援」から「推進」への転換期

大学を取り巻く現況から考えると、大学間競争の激化やそもそも大学市場は、少子化の影響を直接的に受ける構造的不況業種でもあると認識しています。そのためそれらの影響にも十分に耐え、新たな挑戦を続けるためにも、未来を見据えた教育・研究・経営の基盤を強固に構築することが重要です。立命館大学には教員と職員による教職協働の力、そして40万名を越える卒業生(校友会組織)による強い絆のネットワークが存在します。これらオール立命館の総合力を発揮すれば、世界と伍する大学になることもそんなに遠くはないと考えています。言い方を換えれば、将来立命館大学からノーベル賞受賞者を輩出することも夢ではないということです。

大学職員自身は、これからより業務創造力量を向上させ、教員との信頼感を高め、自身の担当する業務におけるプロ意識と技量を持つことが求められています。例えば研究分野で言えば、教員に対して「支援(力を貸して支える)」する意識から、「推進(関与し、成果創出に寄与)」する意識への転換が必要です。積極的に教員に関わることで、教職共に研究成果創出の主人公の一人となる。また学生に対しても、課題解決や目標達成に向けて、共に伴走する姿勢が職員には必要ではないでしょうか。最近、新任職員研修でも話をしているのですが、力量的には、「書ける力」「話せる力」「表現できる力」「演出できる力」なども、多様性がある立命館大学の職員には求められる能力だと思います。

大学職員を目指す方々へ

「意志あるところに道は拓ける」。私の好きな言葉です。つまり立命館大学は、自身の姿勢次第で「やりがいとチャンスが至るところにあり、そして見つけることが可能な環境の宝庫」だと思います。皆さんと、立命館大学でお会いできることを、心から楽しみにしています!

取材日 2022年11月
(写真提供:JSTnews)
※プロフィールは当時のものです。

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